「ひっ!!?」




















覗き込んだペンさんは。



船長を、貪っていた。





















「うわあああああああああっ!!!!」




比喩でも何でもない、


ペンさんは、


船長の右腕を食い千切り、


飲み込んでいた。





「あああああ、あ、あああっ・・!!!」



言葉が出てこない。
みっともなく尻餅をついて、ガタガタ震える身体を叱咤し後ずさりするけれど、それもままならなかった。


ただ目の前の出来事から目が離せない。







ピチャピチャと血を啜るように舐め、薄い船長の肉を強引に噛む。
千切れないと思ったのか、ペンさんは愛用のナイフを船長の細い肩に突き立てた。


「やめて・・・!やめて、ペンさん・・・!」



おれは無我夢中で繰り返し呟いた。
やめて、やめて、お願いだから!!
そんな事、しないで・・・!





























「ローは・・・渡さない。」

ペンさんが、呟いた。























火に焼かせてなるものか。

海に渡してなるものか。

土になど還してやるものか。



これで・・・ほら。






もう、離れられないだろう?
















船長の片腕は、既に殆ど無くなっていた。
白が覗く骨に、少しばかりの肉塊が付着しているのみで。

ペンさんの真っ赤に濡れた顔面は、次の部位を喰らう為に肩から首へと移動していた。まるで性行為を思わせるような、官能を引き出す動きに頭が真っ白になる。ちらりと覗き見えたペンさんの舌は、もはや血なのか舌の色なのか区別がつかない。



生々しい血の臭いがあたりに広がってて、

肉片が飛び散り、

クチャクチャと肉を甘噛みする濡れた水音が耳に響く。





無表情で喰らうペンさんが、













  『面倒な事にならなくて良かった。』


                           『悪い夢でも見たのか。』


『よし、行くぞ。』


              『だから受身が甘いと言ってるだろう。』


                                 『何かあったのか?』


『・・・いや、有難う。』












あの、ペンさんが。







「ぁ、あ"・・・!」

腹の中から異物が込み上げてくる感覚がおれを襲った。












そしておれは―














 →気を失った



 →逃げ出した