「・・・・・やっぱり、やめとく。」

「そう?」

そう言ったら、ベポが少し安心したように見えた。


行きたい気持ちが無い訳じゃない。
けど、今のおれは光を失ったばかりで、真っ暗で、何も見えていなかった。

こんな状態でベポについていける筈がない。


「おれにも旅の話、聞かせてよ。」
「うん。・・・そうだね。」
悪魔の実は絶対に持って行くから、そう行ってベポは港へと歩き始める。
ふと、宛ても無いのに何処へ行くのか聞きたかったけれど、やめた。分配されたお金はベポだって持っているし、何よりこれ以上触れてほしくなさそうだったから。






船長を失って、おれたちは真っ暗だった。







小さくなってゆくベポの背中を見送った。
ベポが振り返る事はなかった。






「おれは・・・どう、しよう。」
一人呟いたけど、聞く人なんて何処にも居ない。

おれはただ、胸にぽっかり空いた穴をそのままに歩き出していた。






街へ、行く?何の目的も無いのに?
本来なら、いつもみたいに笑いながら街を見て回る筈だったのに。
どうして、こうなってしまったんだろう。

「せんちょ・・・・。」

枯れた筈の涙がほとほとと落ちる。
泣く気力なんて残ってないのに、それでもおれは涙を流してた。








こうしてバラバラになるなんて、昨日は考えもしなかった、のに。










そう思いながらおれはぼんやりと突っ立って、






 →ペンさんについていこうと決意した。



 →街に残ろうと考えた。