ラスボスまでいっていれば大丈夫です。
              あと、死ネタ入ってます・・・!!
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*さいごのおもちゃ*







ひたり、水の音で目が覚めた。


「・・・」
目が覚めたものの辺りは薄暗く、地面は固く冷たい。
泥と血の混じった臭いが鼻を刺激し、眉を顰めようとして―失敗した。
「っ…!」
全身を引き攣る様な痛みが駆け、声を出す事すらままならない。
「…?」
そこで首が押さえつけられているような違和感に驚き、同時に数刻前の出来事が蘇る。
シングが、コハクが、皆が。
クリードを止めに、ガルデニアを殺しにここまで来た。
「(そう、クリードの野郎の、とこまで…来たんだ。俺達は。)」
まるでフラッシュバックするようなそれは、惨劇だった。



「起きたか。」
その声に、ハッとする。
倒れたままかろうじて首を動かすと、そこには間違える筈もない声の主、クリードが薄笑いを浮かべながら立っていた。赤いうねる髪は戦闘時の激しさを微塵も残さず、その顔は笑みを貼り付けているものの冷ややかだ。
「・・・っ」
声を出そうとして、先ほどの違和感に押し当たる。
喉元で、チャリ、という金属音が聞こえた。
「声なぞ出まい。特製の首輪で声帯を押さえつけているのだからな。」
「―ッ!!」
先ほどからの違和感の正体を教えられ、カッと頭に血が上る。クリードの言う首輪から鎖が繋がれ、たどればその先は彼の手元にあるのだ。痛む手足を動かせば同じように鎖のぶつかる音が聞こえ、まさかと思い視線を投げれば両手両足が拘束されて檻へと繋がれている。
「・・・!」
絶望的な状況に頭を打たれたような衝撃が走り、目の前が真っ暗になる。
「お前には些か興味が湧いたのでな。」
ピタリと動きを止めたヒスイに向かって言い捨てるが、その言葉は彼を正気に戻した。
他の仲間は何処だと慌てて見回すが、薄暗い岩牢しかなく他に人型は見当たらない。それでも仲間は近くにいるのだと信じ、痛む身体を叱咤して檻の前まで這う。
ずりずりと擦れる音と水の落ちる音だけが無情に響き渡る。
「そんな恰好になってまで、"仲間"とやらを探すのか。」
言外に哀れだと言われているのは分かっていたが、それに反応出来るほど今のヒスイに余裕は無かった。
一刻も早く生あることを、確認したい。
ただ、それだけだった。

「他の者は特別興味が湧かなかったからな。」



捨てた




その単語に、顔が青褪めるヒスイ。
頭の中には血塗れになって倒れたシングや、回復に走るコハク、自らの危険を顧みずコアに集中するイネスとクンツァイト、ボロボロになって詠唱を続けるベリルの姿が映し出された。いつ己の記憶が途切れたかなど思い出せないが、それでも。
「殺したさ。」
檻に縋ったまま目を見開きクリードの姿を虚ろに映すヒスイに、平然と言い放つ。
「もうリチアも要らなかった。ガルデニアを制御出来れば結晶界は復活出来るのだから。」
それはいっそ清々しさをも含んでいて。
「あとは、そうだな。…玩具があれば良い。」


退屈しない、玩具があれば。


そこで言葉を切るクリードが何を意味していたかなど、分かりきっていた。
手元にはヒスイの喉へと繋がる鎖、思うように動かない身体、そしてクリードが手に持つ液体の入った瓶。
「起きたなら丁度良い、具合を確かめさせて貰おうか。」
何が起きているかなど分からない。出来れば夢であって欲しいと、ヒスイは愕然としたまま動かない。
見開かれたままの目は確かにクリードを映しているが、そのスピリアは此処に無かった。
「(死んだ、)」



守れなかった。



何もかも。



どうして己だけが生かされて。




「(・・・みんな。)」
声を出して名前を呼ぶことも出来ず、せめてもとヒスイは唇を動かした。

コハク。

シング。

クンツァイト。

イネス。

ベリル。



…リチア。


顔も、泥と誰のものか判別出来ない血で汚れているのだろう。
唇を微量に動かすだけで疼く痛み。
それでも、名前を呼びたかった。
「まだ何もしていないのに壊れてもらっては困るのだが。」
まるで確実に視界に入っているのに己を見ようともしないヒスイへ、侮蔑のような苦笑が漏れるクリード。
空いている手が、そっとヒスイの頬へ伸びた。








ほろり





  ほろりと





泣いていた。








「・・・。」
泣く、というよりはただ涙を流しているだけのように思えた。
目は見開かれたまま変わることなく、まるで凍りついた人形のようだ。ただ涙だけが頬を伝う。
「泣いているのか。」
そっと涙を拭うと、ようやくクリードの存在を思い出したかのように小さく首を振る。もう抵抗出来る手段など、残ってはいなかった。
ふと、クリードの口角が小さく上がる。
同時に鎖を持つ腕がグイと上がり、ヒスイの喉が鉄格子にぶつかった。
それでも、いやいやと首を振り続ける。
「いつまでそうやっている。」
見下し、持っていた瓶を片手で器用に開けたクリードは、中身ひっくり返し全てヒスイの全身へかけた。半透明の液体がぼたぼたと降りかかるが、ヒスイは首を振ることをやめようとしない。




最早彼のスピリアは、壊れかけていた。



仲間が殺され、死より辛い状況に立たされている。



いっそ殺してくれた方がどんなに楽であっただろう。








「もう何も戻らない。」


「いつまでそうやって駄々を捏ねているつもりだ。」






無理矢理快楽を引き出そうとするその液体に、ヒスイの身体が小さく震えた。







もう、戻らない。















戻れない。















なんというクリヒス、というよりお題(クリヒス・駄々をこねる)にあっているのかどうかも疑わしい!
エロ入りそうだったので自重しました(^=^)
死ネタですみません…!そして校正皆無の一発書きなので文章変なトコあったらすみませ(ry


某様のお題(ガルデニア×ヒスイでメイド)や某様のお題(ゼロム×ヒスイで耳)
に当たらなくて本当良かったと思うんだ・・・!^w^
ログのアミダで、メイドの所に(順当に)と書いてありましたが、まさかそこでガルデニアに当たるとは誰が想像出来たでしょうか(笑)
ヒスウケフェス様に素敵絵・素敵文のログがアプされておりますので、オススメですv


2009.02.01(日付変更線超えてた…)    水方 葎